講師から一言〜水上恵美先生

②音楽療法士の声について考える~身体を使った声作りとケア~
昨年このサマーセミナーで、「音楽療法士の声について考える~その重要性と作り方」と題して、主に理 論とちょっとした実践をさせていただきました。今回はそのパートII、実践編です。実際に身体を動か し、声を出し、そのなかで声が身体としっかりとつながって出ていくことや、自分の声が少しのことで変 わること、などを体感していただきたいと思います。自分の身体と対話しながら声を出すことは、自分の 身体、声をケアすることにもつながります。
普段何気なく使っている声は、音楽療法の実践においてもとても身近で気軽に使うことができる“音” でもあります。そして、人間の身体から直接発せられる、身近であると同時にとても特別なものでもあり ます。声の様子が相手に与える影響については皆さんも感じられているところではないでしょうか。
正しい発声で身体を守り、声により磨きをかけることは大切であるとは分かっていても、具体的にどう すればいいのかわからない。と敬遠しがちな声のトレーニングですが今回は自分にとっての良い声を求 め、得ていくきっかけにしていただきたいと思います。

講師:水上恵美
日本音楽療法学会認定音楽療法士・ヴォイストレーナー。 滋賀大学大学院修了。山松質文主宰“ミュージックセラピィ研究会”で音楽療法の研鑚を積み、江原音楽 療法専門学校講師を経て、現在京都音楽院講師。大東市子ども発達支援センター他における音楽療法士と して活躍し、数多くのセミナーなどでも講演。

講師から一言〜北田朋子先生

①セラピストのセルフケア~自分を知ること、いたわること~
実践をしているなかで、困ったり悩んだりすることがあると思います。 ひとりで抱え込んで、疲れてしまうこともあるかもしれません。 自分では疲れていないと思っていても、もしかするとそれに気づいていないのかも...。 人と関わる仕事において、セラピスト自身が自分の状態を知ることや、自分自身をケアして実践の場に
臨むということは大切なことだと言われており、私自身の体験でもそのような「セルフケア」の大切さを 感じてきました。しかし、その大切さを実感していないと、自分のことはついつい後回しになっているこ とが多いようにも思えます。また、どうすれば「セルフケア」になるのかがわからないかもしれません。
私は、音楽療法の場から心理臨床の場に今は重点を移していますが、心理臨床では、仲間内の事例検討 やワーク、スーパービジョンなどが自然に気軽に行われています。それが「セルフケア」としての役割も 持っており、クライエントだけでなくセラピストをも大切にする風土があります。そしてそれは、音楽療 法にも十分応用できるのではないかと思います。
今回は、そのような「セルフケア」の大切さを考えながら、実際にワークを通して「セルフケア」を体 験していきたいと思います。

講師:北田朋子
臨床心理士。東亜大学大学院博士後期課程(臨床心理専攻)に在籍中。 追手門学院大学文学部心理学科卒業。京都音楽院音楽療法専修科修了。元(株)JEUGIA 京都音楽院副院長。 「長崎おぢか国際音楽祭」音楽療法講座講師。現在、東亜大学学生相談室、老人保健施設アコール、福岡 市ひきこもり地域支援センター「ワンド」非常勤臨床心理士。京都音楽療法研究会立ち上げ人。

音楽療法サマーセミナー2017のお知らせ

昨年大好評をいただきましたサマーセミナー、今年も企画いたしました!
昨年来られた方はもちろん、今年初めて参加される方にも
楽しく学んでいただける内容となっております。

夏の1日、ぜひ京都で一緒に音楽療法のことを考えてみませんか?
たくさんのご参加、お待ちいたしております(^-^)/


◆ 日時 2017 年 8 月 19 日(土)
①13:00〜14:30
セラピストのセルフケア〜自分を知ること、いたわること(講師 北田朋子)
②14:50〜16:20
音楽療法士の声について考える〜身体を使った声作りとケア(講師 水上恵美)

◆ 場所: 京都市東山いきいき市民活動センター1階和室
(京都市東山区三条通大橋東入 2 丁目下る巽町 442 番地の 9)
京阪電鉄「三条駅」、地下鉄東西線「三条京阪駅」から徒歩7分程度

◆ 定員: 各講座 16 名程度 (②を受講の方は動きやすい服装でお越しください)

◆ 受講料: 1講座のみ受講 2,000 円 2 講座受講 3,000 円

◆ お申込み・お問合せ
お電話またはメールにて。 3日前までにお名前・ご連絡先・受講される講座名をお知らせください。

たのしい音楽療法研究所(日本音楽療法学会認定音楽療法士 古儀裕子・山本知香)
 電 話  072−633−6333
 メール   koromaru_mt@yahoo.co.jp


後援 京都音楽療法研究会

自閉症の子どもとの個人セッション~初回~

                      【自閉症の子どもとの個人セッション~初回~】
                                                             古儀 裕子
        
●セッションの初回。
 障がいを持った小さい子どもの最初のセッションでは泣かれることが多い。初回は保護者の方に入ってもらったりもするが、それでも知らない場所や知らない大人達がいるところに突然「音楽をするよ」とだけ言われ、連れてこられているのだから泣くのは当然と言えば当然。不安でいっぱいに違いない。特に障がいによっては、初めての場所や初めての人など「初めて」のことが苦手な子どもも多い。とにかくここが「嫌!」なのである。だがセラピストもそこはわかりきったことなので、「初回は泣くだけでセッションが終わるかもしれない。」と思って臨んでいる。反対に全く泣かなかったり何の不安感も見せずに30分間過ごされるとこっちが不安になるくらいだ。もちろんそういう子どももいるし、初回ではなく「泣き」がしばらく後ででてくる子どももいるので、本当に一人ひとり違って当たり前なのだが、ただ経験上、早めに泣いてくれる(自己表現をしてくれる)方がその後のセッションがスムーズに進んだり、後々何かがあった時にも崩れにくい気がしている。

 私の個人セッションでは子どもをすごく泣かせることがある。・・・・泣かせるというか、泣いているのをそのままに受け止めて、あえて慰めたり、違う方向に意識を向けさせたりしないのだ。号泣して暴れている子どもがいるのに一緒にいる大人が慰めず、泣き声と同じボリュームの声を出し、同じように暴れて音を出すその場面はかなり凄惨な場面に見えることだろう。一歩引いたところから見たら、パニックをおこしている子どもと同じような動きをとるので、セラピストもパニックをおこしているように見えて、少し間違えれば虐待しているようにも見えるかもしれない。でも同じ温度で返している以上周りからそう見えて当然だし、それぐらいに見えないとクライエントにもばれてしまう。

●そもそもどうして「泣いているのをそのままに受け止めて」いるのか?
 子どもに対してはいろいろな場面でのいろいろな接し方があって、例えば私が保育園で保育士として子どもと関わる場合はこのような関わりをしない場合の方が多い。泣けば子ども自身もやはりしんどいし、集団の中ではその全体の動き自体も止めてしまうかもしれない。そのため何かつまずきそうなことがあれば先にそれを取り除いておくこともあるし、単純に慰めもするし、全然違うことで気をそらしたりもする。これはこれで日常の生活を円滑に進めていくためにとても大切なことだと思っている。
 ただこと音楽療法場面(特に個人セッション)においては※1「子どもの先回りをしないこと、心の動きを封じないこと、子どもの自由を奪わないこと」や「自己表現(正の感情も負の感情も)」などを大切にしているので、「泣いている」=「自己表現」ととらえ、無理に泣きやませようとはしないのだ。先程「日常」と書いたが音楽療法場面は、セラピスト自身が「非日常」と思ってセッションに臨んでいるということも大きい。
(ただ「日常」あっての「非日常」というか・・・・。生活をしていく為には「非日常」だけではダメだと思っている。必ず「日常」が必要。反対に「日常」のみはあり、だと思っている。)

●ここでの非日常とは?
 セッション時間の30分間、その空間は完全にクライエントの世界であるということ。
置く楽器やその配置などはこちらがクライエントが動きやすいように設定しているので、完全にとは言えないかもしれないが・・・・。危険なことなど以外は言葉も法律も重力etc.もすべてクライエントのもの。どういう世界になるかはクライエント次第。初回は何もない状態なので、とても大変だと思う。

●そしてどうして「自己表現」が大切だと思っているのか?
 学校現場や教育現場での成長とは(私の中で)上に積み上げていくイメージがあるのだが、音楽療法の中で私がやりたいのは上に積むのではなく、ただただ下を強固なものにする土台作りだ。土台さえしっかりしていれば少々上に無理な積み方をしても簡単には壊れないと思う。自分が主役の世界の中で自分自身をたくさん表現して、自分自身の力でひたすら自分と向き合っていくこと(自分への問い)が土台作りには必要ではないかと思っている。そのために自分は何が好きなのか、自分は何が嫌なのか、何がしたいのか、日本語を話したいのか、話したくないのか、自分は誰なのか等々を、泣きながら、叫びながら、遊びながら、歌いながら、しゃべりながら、止まりながら、内にこもりながら表現してほしい。
 セラピストはただただそれに同じように付き合い支えるだけ。すべてはクライエントの力で進んでいくことなので、最終的には「この土台全部、自分の力でできた」と思ってもらえると良い。

● なぜ音楽を使うのか?(様々なクライエントがいて、音楽の使い方もそれぞれなので、今回のクライエントの場合。)
 特に自閉症の中でも言葉の使い手でないクライエントとかかわる時に音楽はセラピスト(私)にとってとても便利だから。クライエントから出てきたものを映して返す時に、メロディー、リズム、ハーモニー、音量、速度、休符など使える要素がたくさんある。

●その他。
 すべてのクライエントでこのセッションと同じようなことができるかというと、できない。ここまでやろうと思うと、小さい子どもであるということが結構重要だ。自傷行為などもあるとできない。(自傷に関しては思うところもあるけれど、試して失敗するわけにはいかないので、とりあえず考えないことに)。そして何かの時にセラピストの力でなんとかできる(動きを止められる)クライエントの体の大きさだったということもある。
 本当はこのやり方でどのクライエントともセッションができれば後々スムーズにすすむとおもうのだが、なかなか難しい。そのためできるだけ小さい年齢からセッションが始められると良いのにと思っている。
 またこのやり方はとても時間がかかるやり方である。セラピスト側からうまく操作(しかも一見操作とわからないように、さもクライエント側から出てきたもののように、うまく誘導していく方法もあると思うが)していった方がクライエントも楽で、時間もかからないかもしれない。けれど、時間をかけても自分でつかんで欲しいという思いがあるので、今のところこの方法が自分にとってベストな方法かと思う。

※1 山松質文『音楽療法へのアプローチ~ひとりのサイコセラピストの立場から』 一九九七

個人セッション

「個人セッションの良さを語る会(仮)」
産休中のまるちゃんにもまだ言ってませんが(笑)、仲間内で「やりたいな~」と最近話題にあがったテーマです。
「音楽療法」と聞くとやっぱり思い浮かべるのは集団でのにぎやかなセッション。
もちろんそれも良いですが、こういうのもあるよ(誰に向けて・・・笑?)というわけで、前回の「たのしい音楽療法研究所 研究会」と3月の「京都音楽院 事例ゼミ」で発表した、私(ころ)の「自閉症の子どもとの個人セッション、初回でのかかわり」を書いたものの一部をご紹介です。
(クライエントとの具体的なやりとりなどは抜いています。)

次の記事に続く。
プロフィール

ころまる

Author:ころまる
たのしい音楽療法研究所のブログへようこそ!

左が「まる」、右が「ころ」です。

私たちは、京都・大阪近辺で、個人セッションによる音楽療法を中心に、さまざまな音楽活動を企画・実践しています。

自閉症、ダウン症、脳性まひなどの障がいをもつ方々と一緒に、たのしい音楽の時間を過ごす日々♪

詳しくは、たのしい音楽療法研究所のホームページをご覧ください。
(下の「リンク」からどうぞ!)

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